最高裁判所第一小法廷 昭和41年(オ)957号 判決 1967年12月14日
主文
本件上告を棄却する。
上告費用は上告人の負担とする。
理由
上告代理人村田太郎の上告理由第一点について。
上告人と被上告人との間に所論株式の売却委託契約が成立しなかつたとする原審の認定判断は、原判決挙示の証拠関係に照らして肯認しえ、その判断の過程に所論の違法はない。所論は、ひつきよう、原審の専権に属する証拠の取捨判断ないしは事実の認定を非難するに帰し、論旨は採用できない。
同第二点について。
原審の確定した事実関係のもとにおいては、被上告人について不当利得の成立を否定した原審の判断は正当である。所論引用の判例は、本件と事案を異にし、本件に適切でない。したがつて、原判決に所論の違法はなく、所論は、これと異る見解にたつて原判決を攻撃するものであつて、採用できない。
よつて、民訴法四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のとおり判決する。
(裁判長裁判官 岩田 誠 裁判官 入江俊郎 裁判官 長部謹吾 裁判官 松田二郎 裁判官 大隅健一郎)